危険! SNSによるモデルの募集

あなたは彼が何者かを、本当に知っていますか?

「顔も素性も知らない人と繋がるSNS」

SNS――ソーシャルネット・ワーキング・サービスと呼ばれる、mixi、Facebook、Amebaなどといったコミュニケーション機能がついているブログが世界中に広まったことによって、私たちは簡単に他人と繋がることができるようになった。ビジネスの幅が広がったり、気の合う仲間と出会えたりと、今日SNSが縁になることは多々ある。けれども、テレビで報道されているように、詐欺や殺人など悲しい事件を引き起こしてしまうこともある。し、それを防ぐ手立て、機能をつけたとしても、犯罪をゼロにするのは難しいだろう。
かくいう私もSNSを利用している。多くの人に表現者として活動していることを知ってもらうためである。だが以前は、自身をモデルとして使ってもらえるようなクチを探すことに使っていた。

「モデルとカメラマンが出会う掲示板」

会社員2年目の、たしか秋ごろ。春の人事異動で現場からデスクワークへと変わり、ちょうど慣れてきた頃合だった。当時、期限付きではあるが遠距離恋愛をしていたこともあって、どこか暇を持て余していたのだと思う。元々美術モデルをしていた私は、写真のモデルもいいなあ、とSNSの「写真モデル募集」なる掲示板を眺めていた。
写真を撮りたい人も、撮られたい人も大勢いた。カメラマンもモデルも、アマチュアからそれで生計を立てている人までいろいろで、ギャラのありなし、地域、交通手段の限定、衣装の指定など、各々が限られたスペースを使って自身をアピールしている。
私は美術モデルをしていた経歴だけを書き、掲示板を経由してカメラマンたちのブログを適当に読み漁るに留まった。結局のところ、知らない人に会う勇気が持てなかった。
私を写真のモデルとして声をかけてくれたのは、アマチュアの女性カメラマンだった。私のことはブログを読んでだいたいを知ってくれていて、その上で今の私を「切り取りたい」とのことだった。歳は私より2、3個上で、実際に会ってみて、夢を追いかける姿勢に共感できた。私が力になれることだったらモデルでもなんでもしたい、そう思えるような情熱的で、まっすぐな女性だった。それから3年、撮影は過去2回しかおこなわれていないけれど、今でも繋がりはあるし、この先も大切にしていきたい友人だ。SNSがなければ、出会うことはなかったかもしれない。
ただ、この出来事は良すぎたのであって、初っ端がこれ、だった私はSNSが孕む危険性に対する意識が低くなっていた。

「カメラマンを選ぶ判断基準」

後に出会うカメラマンたちも、いい人ばかりだった。危機感が薄いにしても、好奇心旺盛にしても、下調べなしに飛び込んでいったりはしない。オファーを受けるにしても、こちらから売り込みにいく場合も、ブログはチェックする。記事の内容と、撮った写真を見て判断する。あとはメールのやりとりで、露出を誘うもの、車での移動はお断りさせていただいた。
もちろん、ヌードモデルもしているくらいだから、露出ができないわけではない。が、事件に巻き込まれないためには、人間関係の構築が大事なのである。車移動に関しては、個人的に嫌な思い出があるから、というのもあるが、これこそどこへ連れて行かれるかわからない、恐怖の乗り物なのだ。
この2点で精査すると、だいぶと危険は回避できる。幅は幾分狭まるかもしれないけれど、品格や命を落とすことを思えば大したことではない。

「それでも危険な目に遭った事例」

いろいろな人に撮ってもらって表現の幅を増やすべきだと考えていた当時の私は、ふるいに掛けながらも危険に遭遇してしまった。
私の写真作品を見て「自分ならもっと綺麗な貴女を引き出せるから、是非とも撮らせてほしい」という内容のメッセージを送ってきたK氏。悪くはない誘い文句だった。
ブログはほぼ写真のみ。女性のポートレートを撮っているアマチュアカメラマンだった。特に問題なし。ただ互いの居住地は遠かった。謝礼を提示されたが、中間地点で会う、その交通費を負担してもらうことで話が決まった。
それからの撮影内容について、綿密すぎるK氏の要望のメールがあり、その日が近づいてくると電話で声が聴きたいと連絡が入った。以前に何度もドタキャンされていた経緯があり、待ち合わせに対し慎重になっているようだった。
撮影内容は捉え方によっては芸術的な感じだったが、簡単にいえば淫らに犯されていくイメージ、みたいな話だった。なんか怪しいな、とは思いつつも、もしかしたらすごい化学反応が起こるかもしれない、という好奇心が勝り、当日は約束を守る決心を固めた。
結局、その日私はわざわざ新幹線にまで乗り、グダグダに疲れて帰ることとなる。

「モデルに手を触れるのは厳禁」

プロ、セミプロとして活動されている方はそんなことないとは思うけれど、モデルに触れるのは一番してはいけないこと。場合によっては手の角度をもうちょっとこう、とか、髪が顔にかかっているから、とか、その程度のことはあるかもしれないけれど、それはモデルの許可をきちんと得てから。
あの日私は、カッターシャツのボタンに手を掛けられ、ボタンを取られた。こんなこともあろうかと、撮りたい写真のコンセプトも踏まえてキャミソールは着ていたが、いやいやいや、と手を払いのけた。険悪なムードになって、途方に暮れていると雨が降り出し、これで帰れるかと思いきや、ラブホテルに移動。抵抗すると家に帰れなくなる、と思った故の判断だった。
手錠をかけられ、表現を武器に必死の抵抗。……壮絶な時間だった。強姦するつもりはなかったんだろうけれど、カメラを置いた時点で、彼はカメラマンではない。その手はシャッターをきるためにあって、服を脱がせるためではないはずだ。
助かったこの身で私が言えること。モデル志望の皆様、カメラマン選びにはご注意を。

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錦織小町@ささ脳

錦織小町@ささ脳美術モデル

投稿者プロフィール

表現者。1988(昭和63)年大阪府生まれ。近畿大学中退、大阪コミュニケーションアート専門学校卒業。三年間の会社員生活を経て、現在は執筆、美術モデルを主な活動としている。生きている意味、自分にできること、しなければいけないことは何かを問い続ける。

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